あれやこれや

一織推しの語るアイナナつらつら

フラウェの関係性が死ぬほど好きだという話(前編)

標題通りです。

フラウェの関係性が本当に本当に好きなので、6部完結を経てムビナナで盛り上がっている今、どこが好きかという話をつらつらと書いていこうと思います。

正確な出典とかはのちほど。なお書いてる人はゴリゴリの一織推しです。

【第1部】 100歳まで生きるよりも100年分歌って死にたい/やっと、誰かの役に立てる

陸の病気にいち早く気づく一織の聡いとこと、勝手に言いつけたりはしない優しいとこ好きだなぁ。

一織が初手から口が悪くて、陸が「コイツ生意気~!」ってなってるからこそ、「黙ってて! ちゃんとやる! 迷惑かけない!」って強く出られるの、いま振り返るとうまい展開ですよね。心配してくる相手だと罪悪感の方が強くなっちゃって言えなくなる子だろうから。

病気に気づいて、でも口止めされて、一人で陸と対峙したからこそ、一織だけが陸の渇望を知ることになる。100歳まで生きるより100年分歌って死にたい。センターとして必要とされて、初めて生きている実感が得られた。守ってくれていた優しい人たちには言えない望みを、優しくない一織相手だからこそ陸は吐露する。

一織は一織で、ずっと誰かを探していた。誰かを支えることを夢見ていた。自分に指図するな、おまえは優秀なんだから自分のやりたいことを探せと兄に拒まれて、行き場をなくしていた一織の願いや夢。きらめく才能を持っていて、でもまだ世に認められていない人を、自分の手で輝かせたい。人と接するのが下手で、言葉のきつい自分にも傷つかず、支えられてくれる人。

 

絶妙に噛み合っているのに、この時点では彼ら自身がその噛み合いを自覚し切れていないところがまた、たまらないところ。

 

しかしこんな望みを聞かされた上で嵐のライブの陸の無茶を見守って支えた一織の心中を思うとめちゃめちゃ胸が痛い。ほんとおま年下に気を揉ませて……! と思っちゃうんですが、陸本人も必死だからなぁ。思えば「苦しげに懸命に訴えるとき最大の効果を発揮する七瀬陸の訴求力」はこの頃から発揮されていたと言えるのかも。

これのあとのサイドストーリーが一人一人陸のとこにお見舞いに来る話があるんですが、みんな優しくてりっくん心配しててフォローする気満々で、もちろんそれはとても尊い優しさなんだけど、こういう扱われ方をされたくなかったから病気のことを隠してた、というのはあったんだろうな。

(そう考えると三月の接し方はさすがだなと思う。まず叱って、悪いことじゃないんだからちゃんと考えていこう、ってところ。でも三月も無理は許してくれないからなー……)

 

ミューフェス。ばたついてプレッシャーで陸が調子悪くして吸入器も壊され、またしても一織だけが陸の不調を察していて。歌い忘れからの一織逃亡、プリーズミュージックの尊さは皆様周知の通りですが。

一織を探しながら一織が失敗したのはオレのせいかもとこぼした陸が、見つけてから謝ったり気にするなと言うわけでもなくただ「おまえがいなきゃ始まらない」と笑うのが、好きだなと思います。この場面で誰も「一織は悪くない」とか「一織のせいじゃない」って言わないのが、誠実で好きなんですよね。だってどんな事情があってもデビューのかかった出演で一織が失敗してチャンスをふいにしたのは事実だから……。

 

八乙女事務所によるスキャンダル工作で、お互いに捏造ニュース読んでムカッとするも「まあ言うか、これくらい……」つって流しちゃうの、最高に好きなとこ。捏造を信じちゃうとこには互いの理解の浅さを感じもするけど、いつも遠慮なく言い合ってる相手だからこそ「いい顔して陰口言ってた、信用ならん」にならないの、いいよね。

 

ブラホワ前の二人きりの会話たまらんのよ。IDOLiSH7の中でも、彼らだけにある特別な関係。それがIDOLiSH7の強さに直結してるところ。

あなたはIDOLiSH7の爆弾だ、がラストで意味を鮮やかにひっくり返すの、めちゃめちゃ気持ちいい。

 

【第2部】ひどいですよ、七瀬さん。/……馬鹿な人。/この会場で私が一番、

いきなり大サビなんだよな。

2部はやっぱり、リスポ~~~~~~!!!! なわけですが。

 

まず、陸がアンコールに出られなかったライブのとこ。歌いたい、声が枯れるから薬は嫌だという陸に一織自ら吸入器を押し当てて引導を渡す場面ほんとさぁ……。あの場面で最年少の一織がわざわざ動かなくてもいいのよ。でも、支えると決めたからには「歌わせない」判断も背負うとこ好きだ……。

ゼロアリーナの支配人に陸の不調を隠したことで、大和に忠告される場面。大和の指摘ももっともなんですが、陸の命がけの渇望を直接聞かされてるのは一織だけなんだよなぁ~とどうしても思ってしまう。「ステージで歌いたい、センターを任されていたい」という陸の執着を理解しているのは一織だけなんですよ……。

 

そしてセンター交代。

 

ミューフェスでの失敗を年末までひそやかに引きずっていた子、ずっとmiss you...を聞けないでいた子に、誰よりも七瀬陸のアイドル性を信じている子に、圧倒的歌声のセンターの代理として、冠番組の主題歌を歌えと。いや残酷ゥ……。

IDOLiSH7の未来のために、陸に歌ってほしいと誰より切望してるのに、陸を潰さないため、陸が戻ってきたときの居場所を確保しておくためにセンター代理を引き受ける一織のいじらしさよ。

そして、引き受けるからには陸に罪悪感を持たせられないし、上向き調子のIDOLiSH7の勢いを落としたくもないわけで、重圧に涼しい顔で耐えきって完璧にこなしてるのに、その完璧さによって陸が凹むっていうな……。どうしろと。一織があまりに不憫でモンペはつらい。

 

でもだからこそ合同練習でお互いの気持ちを吐露するエピソードがめちゃめちゃ尊いんですよね。

私の気持ちがわかりますか!?

ひどいじゃないですか……。ひどいですよ、七瀬さん……。

わかりますか、ひどいじゃないですか、っていう感情的な責め方がさぁ……。わかってほしかったし、傷ついて悲しかった。こういう風に一織が訴える相手も、陸だけなんですよね。三月との和解でも、こういう訴え方はしてない。それだけ一織にとって陸は特別な相手なんだよなぁと思う。

対する陸が、ごめんな、泣かないで、って完全に降参してるのもたまらん。この場面の「……馬鹿な人。」は一織の台詞の中でもマイベスト5に入るやつです。

 

そしてリスポ、センター復帰。

あそこのMCはもう……はた言ふべきにあらず、でいいですよね。ひたすら尊い

徹頭徹尾「IDOLiSH7の成功」しか見てなくて、自分自身の人気や評価やセンターであることにミリも執着ないアイドル、ファンにとってみれば切なさもあるかもですが、そういうところが和泉一織なんですよね……。

【NATSU】世界中のお医者さんがだめって言っても

2部に含まれてますがこれほぼ独立ストーリーですよね。

世界中のお医者さんがだめって言っても、
一織が歌えって言うときは、歌えるオレになりたい。
だから、ずっと期待してて。

オレがどんなにボロボロでしんどい時も、
一織だけは、厳しくオレを叱っててよ。

フラウェのサビ、その2。ひどいよねー。残酷な男です、七瀬陸。一織にしか言わない、がもう殺し文句過ぎです。酷な要求だと一織も言うけど、でもその立ち位置を誰に譲る気もないんだろうな。

2部序盤のアンコールのエピソードにも通じると思うんですけど、どんなに陸が歌いたがったって「歌わせられない」場面はあるわけで。ドクターストップが出ていてもなお歌えと求めることも、最終判断のストップをかけて陸を絶望させるのも一織にかかってる、少なくともそうあってくれと陸は求めている。

18歳と17歳、グループの行く末を握るセンターとプロデューサー。この共犯関係の危うさがフラウェの魅力なんですよね。

【3部】コントロールさせてください/オレを置いていかないで

さて来ました、訴求力と密約。ゼロと引力。

フラウェといえばこの密約がフォーカスされることがめちゃめちゃ多いですが、そして和泉一織やべえやつと言われがちですが、ちょっと待て! そこまでの流れも把握して! とモンペは言いたい。

発端は陸の世間での人気の急上昇。これまでは人気動向の要因が理解できていたのに、気づけば陸は仕掛けた以上の人気を得て、予想以上の速度でひとり高みへと登って行ってしまいそうになっている。九条鷹匡には影のプロデュース業を知られ、陸とゼロとの類似、陸のあやうさを示唆される。ひとり焦燥を募らせる一織。

陰謀が進行し、テレビ業界を追われるTRIGGER。兄を思って感情を揺さぶられる陸がライブで見せた涙と、呼応した観客の爆発的なうねり。

七瀬陸の訴求力――人々の感情を動かす圧倒的な力を一織は思い知る。いまはまだ局所的だけれど、なにかの弾みで彼の感情が世界を動かし始めたなら、制御の効かない大波に呑み込まれてしまうかもしれない――。

それはIDOLiSH7をはるかな高みにつれていく力かもしれないし、破滅をもたらす力かもしれない。たまらなく魅力的でもあり、恐ろしくもある力。九条鷹匡の不穏な予言も不安を煽る……。

そんな危惧を抱えた中での、フレンズデー当日、メモリアルソング1位の「SECRET NIGHT」を歌うべきか、否か、という場面なわけです。

不当に芸能界から排除されたTRIGGERへ、これだけ多くの応援が寄せられたことを知らしめたい。自分たちもまたTRIGGERを信じ応援しているのだと伝えたい。強く訴えかける陸の表情、メッセージ性の強い楽曲選択。視聴率の高いチャリティー特別番組の終盤。

一織が陸の訴求力に気づいたライブ以上の巨大な波を陸がこれから起こすことは、ほぼ確実なわけです。それはきっと、ものすごい体験になる。陸のエネルギーを受けた人々は彼に熱狂し、彼の願いに同調するだろう。アイドル七瀬陸の才能を信じ支えてきたプロデューサーとして、それは是が非でも見たい光景で……しかし、その先は?

訴求力という希有な才能が何をもたらすのか、それはもう、一織の分析能力を越えた世界になる。精神的にも肉体的にも脆い陸が耐えられるのか。自分にはなにができるのか。かつて熱狂の中で姿を消したアイドル・ゼロ。陸が同じ末路を迎えないと誰が言えるのか。

でも、陸の望みを叶えてやりたい。

想像もつかない高みまで飛んでいってみたい。

葛藤の中、許されたわずかな時間の中で一織が打ち出した「対策」が、あの「密約」なんだと思うんです。七瀬陸がどこかへ消えてしまわないように、彼に結びつけた命綱。降り注ぐ隕石から彼を守るための大きな傘。いつも私を気にして。私を指針にして。地図も持たずに未知の大海原に漕ぎ出すというなら、私が舵を握るから――。

 

私にあなたをコントロールさせてください。

私をあなたの指針にしてください。

私の顔色を窺って、いいか悪いかを判断して。

私のどんな要求にも従って欲しい。

私以上にあなたの成功を考えている人間はいない。

あなたを導ける人間もいない。

私を嫌って、憎んでも構いません。

だけど、私を疑わないでください。

あなたの願いを叶えるために。

 

嫌っても憎んでもいいから信じてくれと一織は言います。しばしばプロポーズのようと評される、このときの一織のセリフですが、私はこれが彼の「愛」ゆえのものには思えないんですよね。個と個の関係のための言葉ではなく、あくまでも「アイドル・七瀬陸」のため、彼を支えるプロデューサーとしての自分のため。彼らの、人生を賭けた大仕事をなしとげるための、一世一代の決断なのだと思います。

一織の求めにあっさり応じた陸の要求もまたふるっている。

 

オレを置いていかないで。

オレも置いていかないから。

オレのためだとしても、絶対に止めて。

行く先が天国でも地獄でも、オレは先に行かないし、一織も先に行かせない。

それでもいいなら、オレをコントロールしてみてもいいよ。

 

この「コントロールしてみていいよ」という、赦しの言い回しが最高。舵を握るのは一織でも、それはあくまでも陸の許容のもとに成り立つ関係性なんですよね。彼らの関係性が一方的で不健康なものにならないのは、自然とこのバランスが取れてることかなと思う。

そして「置いていかないで」。

かつて天に置いて行かれたからこそ、陸は一織にこの約束を求めるんでしょうね。一織が陸をコントロールをするというなら、それは双方のためのものでなければならない。そのためなら自分の舵を委ねてやってもいいけれど、陸のために一織が犠牲になったり、二の次にすることは許さない。地獄へだって一蓮托生だし、自分だけを天国に押し出して一織を地上に置いていくなんてことはしない。

この時点で一織のイメージは「陸というスターとそれを支える自分」であり、陸のイメージは「並び立つ自分たち」なんじゃないかなと思います。陸にとっての一織は、アイドルとしての仲間、相棒で、理由は知らないけれど陸をスーパースターにしようと思ってくれている友人。一織はプロデュースの件も、それをしたい自分の夢ややりがいの話もしてないんだから当然なんですけど。

ゆえにこの頃の陸は一織の支えを友情とか愛情とかそのたぐいのものだと受け取っていて、その行き違いの行き着く未来を思ってモンペのオタクはハラハラしたりもしたわけですが、振り返ればそれもまた一興。

 

……長いなー。密約だからなー。語っちゃうな~。

 

まあそういうわけで、出番直前の二人きりの密約を経てのフレンズデー歌唱シーン。

一織が想像したとおり、聴衆の心を鷲掴みにしてゆさぶるモンスター・七瀬陸。

もっと。もっと! と客席を煽る陸と、その隣で歌いながら、どうだ、これが七瀬陸だ、スーパースターだ、と高らかに誇る和泉一織。ここの盛り上げ、何度読んでも最高なんですよね。そこにすっと割り込む九条鷹匡の不吉な台詞まで含めて、完璧です。

この、子供の無邪気さと危うさ、無敵感と共犯関係、足元に口を開けた奈落……。もうこんなの結末まで見届けずにいられないじゃん、という、不安定さゆえのたまらない魅力がこの時期のフラウェにはありますね。

彼らのこの在り方を、この時点でほかの誰も知らない(陸の未来をゼロに重ねて不吉な予言をする九条鷹匡も、陸を呼ぶ声の大きさに怯える九条天も、一織が陸に前もって結んでおいた命綱=密約のことを知らない)というのがまた、危うく不確定で、けれども希望も感じさせるポイントかと思います。

 

長く書きすぎて疲れたので後編に続く。